「愚か者め! 愚か者め!」

「ごめんなさい、ごめんなさい。でも僕は悪くないんです。むしろあなたが悪かったんですよ!」

「そうかもしれない。なるほど、すると君は私が悪かったというわけかい」

「そういうことです!」

「仕方なかったんだ、仕方なかったんだ!」

「そういうものですよね」

「そういうものなんだ、だからと言って……」

「え?」

「いやいいさ、言っても仕方がないことだ」

考えることなんてもうないんだよ、と喜ぶ君と手をとり合って。

涼しくなったねえ、とつぶやく。

この場所に来ていいことなんてあったのかどうか。

もしもあなたに聞かれたらなんて答えればいいのかな。

夕日が綺麗だとか、いいことだね。本当にいいことだと思う。

夏が暑いってのもね、嬉しいよ。だって暑いんだよ。

黄緑の桜が咲いたらきっと綺麗なのだろうか?

喉がからからと音を立てるとはいったいどんな事態だろう。

悲しみがちらちらと降ってくるのをただ眺めていたんだ。

どこにいるのかもわかるようなわからないような……どっちだろう。

この花は美しいのですか? そうでないのですか?

そうですか、あなたは気になりますか、でも気になるのはあなたなんですか?

がながな、がながな、と鳴く鳥たち。

それはきっと美しいことでしょうね。